自立と依存と協力の違い

「依存しちゃダメですよ!」
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何年も前…
仲の良かった友人に
何度も、そう言われていました。
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でも…当時の私は、
人は、協力し合って生きているのに…
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なぜ、依存は、ダメなの?
協力と何が違うの?
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そもそも、私は、依存しているの?
友人の忠告を理解できずにいました。
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そんなある日、久しぶりに、
先輩とお会いすることになりました。
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中華街を案内してくださり…
先輩のオススメの中華料理屋さんへ。
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中華らしい赤い四角の4人掛けのテーブル席。
向かい合わせに、先輩と座りました。
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テーブルの上に、食事が並び、
食べ始めて、落ち着いた頃…
先輩が、少し神妙な面持ちで、
話し始めました。
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「さとちゃん、
めんどくさいから、
かまってほしい時には、
『かまって』って言いなよ」
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『えっ?!』
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突然、そう言われて、
何のことだか?
私には、さっぱり、わかりませんでした。
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きょとんとしている私を見て、
先輩は、続けました。
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「私は、ガンだったんだ。
入院してね。
みんなが、お見舞いに来てくれて、
しあわせだったんだ。
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でもね。
そのままじゃ、私は、死んじゃうんだ。
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だから…
かまってほしい時には、
「かまって」って言おう!って
決めたんだ。
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そしたら…
ガンが無くなったんだ。
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だから…
さとちゃんも、
かまってほしい時には、
「かまって」って言いなよ」
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“ガンが無くなった。って…!”
先輩のこの話は、
私にとって、衝撃でした。
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…と同時に、
私の中で、依存がダメだというのが
なんとなくだけど…
腑に落ちたんです。
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それから…
この違いを他人に伝えたくて、
どう、伝えたらいいか?
考えました。
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それが、ペットボトルくんと
タオルさんの話です。
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ペットボトルくんは、
タオルさんに、頼まれなくても
タオルさんの望むことをしてくれます。
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タオルさんは、
そんなペットボトルくんが大好きです。
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ペットボトルくんのやさしさに寄りかかります。
毎日が、しあわせでした。
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そんなタオルさんは、
最初は、「ありがとう♪」と言っていたのが、
やがて、当たり前になり…
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最後は、やってくれないと
「なんで、やってくれないの?!」と
文句を言うようになります。
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ペットボトルくんは、
そんなタオルさんに
嫌気がさして、離れて行ってしまいます。
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ペットボトルくんが離れていくと…
タオルさんは、
“バタン”と倒れ込んでしまいます。
泣き崩れてしまいます。
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感情の起伏が激しいです。
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このように
「依存的」なタオルさんは、
「支えてあげたい」と思ってくれる
ペットボトルくんのような人を
引き寄せます。
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そして…
ペットボトルくんは、
支えてあげることで
自分の価値を確かめようとします。
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このような方は、
不倫やDVの場合が多いのです。
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そして…でも…本当は、
タオルさんも、
ひとりでちゃんと立てるのです。
ひとりでちゃんと立っていれば、
ペットボトルくんが近くにいても、
離れたとしても、
倒れることも、ありません。
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離れてしまっても、
泣き崩れるほどのことは、ありません。
この時のタオルさんは、
ちゃんと、自分で
お願いを伝えることができるし…
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ペットボトルくんも、
お願いされてから、
自分の答えを決めます。
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そんな風に、
話し合いをして、
それぞれが、自分ができることをして、
相手の役に立つ。
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これが、本当の「自立」であり、「協力」です。
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私には、医学的なことは、わからないけど…
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病気の時の先輩も、
その頃の私も、
ちゃんと言葉で伝えずに、
カラダを使って、「かまってよ」って
言っていたんだと思います。
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だから…
先輩は、「かまって」って
ちゃんと言葉で伝えるようになった時に
『ガン』という病気の存在が
不要になったのかもしれません。
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アドラー心理学の
アルフレッド・アドラーは
こんな言葉を残しています。
その頃の私は、
病気になることで、
会社に行かなくて済む。
ということを手に入れていました。
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「死にたい」と言うことで、
「かまってもらう」ということを
手に入れていたのかもしれません。
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「かまって」と言えば、
断られるかもしれませんが…
「死にたい」と言えば、
ほとんどの場合は、心配してもらえるのです。
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もちろん、当時の私は無意識でしたが…
それを選んでいたのだと思います。
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冒頭の友人は、
そんな私を全部、お見通しでした。
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夜中に「死にたい」と電話をしても…
『はい。どうかされましたか?』と
冷静に対応し…
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心配してくれるという、
こちらの期待を裏切ることで、
自立を促してくれていました。
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それでも、「死にたい」と言うと…
『怒りのエネルギーが溜まってると思うので、
自分自身でもいいし…
鏡の中の自分でもいいので、
殴って、エネルギーを発散してください。
ケガをするかもしれませんが…
死ぬことはないので…。
やってみて、終わったら、連絡をください。
じゃあ、やってみてくださいね』
と電話が切れました。
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そうなると…
私は、やるしかありません。
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でも…死にたいくせに、
痛いのは嫌だし…
大きな音を立てて、近所迷惑になるのも困るので…
自分の足を殴り続けました。
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しばらく、殴って、疲れたので、
また、電話をしました。
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「殴ってみたよ?」
『どうでしたか?』
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「疲れた…」
『もう、大丈夫。寝れますね?
おやすみなさい』
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友人が、一貫していたのは、
心配しない。冷静に対応する。ということ。
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この友人と先輩のおかげで、
私は、自立への道を進み始めることができました。
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もし、依存的なところがあるかも?
と思ったら…
相手へのリクエスト(お願い)を
きちんと言葉で表現することを
意識するといいかもしれません。
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「死にたい」は、相手に対するお願いじゃないんです。
この時の相手へのお願いは、「かまって」です。
あるいは、「相談にのって」です。
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また、もし、相手が依存してきていると感じたら…
冷静に、相手の自立できるというチカラを
信じて関わるということが大事だと思います。
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そして…『自立』は、
ひとりで生きるということではなく、
自分がやるべき役割をこなしながら…
他の人に協力してもらう。
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そんな提携先を増やすことかもしれません。
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人によっては、
このことを「依存先を増やす」と
表現されているのかもしれません。
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